犯人のいない殺人の夜

東野圭吾の短編集。85年〜88年に書かれたものを7編収録。

犯人のいない殺人の夜 (光文社文庫)

犯人のいない殺人の夜 (光文社文庫)

つい最近読んだ「容疑者xの献身」と比べると、どうしても小粒感。ひとつネタがあって、それで勝負してるだけ!のような。あんまりキャラ立ってないし。ま、短編だから当然か。そして、小道具や生活に時代を感じる。20年前の小説だもんなあ……。
各短編について少しずつ。ネタを割っている場合があるので注意!
・「小さな故意の物語」…パロディなタイトルは好き。小学校のとき、超人気者だった彼は、今頃、何をしているんだろ?って話を人としたばかりだったのでシンクロニシティを感じる。
・「闇の中の二人」…犯人、方法、動機、すべてが序盤で深く考えずに「こうじゃねえの?」って思った通りだった。既視感? いまひとつ。
・「踊り子」…男の子がしたことは、普通にキモいと思う。家庭教師はいつか(今じゃなくとも)、真実を伝えるべきです。
・「エンドレス・ナイト」…たとえ方言を消し去っていても、同郷の人はわかるって聞いたことある。間違えまくる人も見るけど。
・「白い凶器」…この短編に限らず、一人称が切り替わる短編って「誰が話しているか」を、別の一人称パートから思い込みで判断すると引っ掛かるよね。
・「さよならコーチ」…自殺じゃないんだろな。殺されるのわかってたんだろな。まではすぐ思い至るが、そこで思考せずにそのまま読み進める。犯人やトリックや動機を考えてから読み進めていた時期が懐かしい。
・「犯人のいない殺人の夜」…二つの時間軸が交互に流れる作品って好き。オチ以外でも切り替わるごとにリンクしてるかのような小ネタ的な仕掛けがほしかった。オチがすべて、なのか?