乾杯屋
3回前くらいの直木賞では候補に挙がったこともある三田完の、6編からなる短編集。現代モノです。
- 作者: 三田完
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2008/04/21
- メディア: 単行本
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青春小説って私は好きだし、よく読むけれど「今だから面白いんだよなあ」って思ってしまうことがしょっちゅうある。30年後に、その時代の新作現代青春小説を楽しんで読める自信はない。そんときに何を読めば良いんだろうって思って、出した結論の一つが歴史小説で、だから今、意図的に歴史小説はあんまり読んでない。北方水滸伝とか超読みたいけれども「これは多分30年後に読んでも面白いから」とか思って取っておきたくなる。というか、なっていた。
でも、本書みたいな小説が30年後も発行されているだろうことを考えたら、別に歴史小説を取っておかなくても良いかな、という気分になってきた。
というわけで、読んでよかった本でした。収録作は、どれも粒ぞろいっす。100%の善意って、あんまりないよね、って考えたり。
ただ一つ。
17歳の女の子を一人称語り手に採用した「匂鳥」はちょっと……。話の筋は良いんだけど、文章(文体)やディテールに違和感。無理がある感じがしてしまった。