ラットマン

道尾秀介、ミステリ界隈で、何かと話題になっている新人だから、いつか読もうと思っていたんですよね。

ラットマン

ラットマン

タイトルの「ラットマン」は、騙し絵の類。
見方によって「ねずみ」にも「おっさん」にも見える「ラットマン」という絵があって、
それの横に似たタッチの動物の絵を並べると、その絵は「ねずみ」にしか見えなくなり、
同じように似たタッチの人間の絵を並べると、その絵は「おっさん」にしか見えなくなる。
「ラットマン」は「思い込み」によって、同じものが別のもののように見える、ということを示す。



「思い込み」って、こわい。事実を曲げてしまう。そんな事実は全くなくても、勝手に予想して納得したりしてしまう。それを黙ったままでいると、ずっと勘違いしたままだったりするのだろう。



この小説を読んでいるとき、知らず知らずのうちにある「思い込み」をしていた。
賢しらに、こうなんだろう、と予想していた。そして、すこーん、と騙された。
ミステリにこんなに綺麗に騙されたのは久しぶりだ。



つーわけで、おもしろかったです。