星へ落ちる

短篇集かと思ったら、連作短篇集でした。

星へ落ちる

星へ落ちる

金原ひとみがデビュー時に比べて、
技巧的に上手くなっているのは誰が見ても明らかで、
例えば以下のような文章は、もう絶対に出てこない。

「ひぃっ」
 マキが血を見て悲鳴を上げる。
「あ……」
 そうだ。私はふと思い出す。アマのお気に入りのシルバーリング、今日も右手の人差し指と中指にはめていた。鈍い音の正体が分かって、全身に冷や汗がにじんだ。ゴッ……ゴッ……THE・骨と銀がぶつかる音。
「アマ、もういいでしょ」
          金原ひとみ蛇にピアス

と、ここで『星へ落ちる』からも引用しようかと思ったけど、面倒なので止める。
とにかく文章が上手くなったのは間違いない。
内容はどうか。



私としては、これもとても面白くなっていて、
好きな男と会えないときの気持ちと行動の描写なんて、
うまくてうまくてそれだけを読んでいたくなってしまって困った。
昔の男の電話も良かった。