星へ落ちる
短篇集かと思ったら、連作短篇集でした。
- 作者: 金原ひとみ
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2007/12/05
- メディア: 単行本
- 購入: 2人 クリック: 18回
- この商品を含むブログ (46件) を見る
技巧的に上手くなっているのは誰が見ても明らかで、
例えば以下のような文章は、もう絶対に出てこない。
「ひぃっ」
マキが血を見て悲鳴を上げる。
「あ……」
そうだ。私はふと思い出す。アマのお気に入りのシルバーリング、今日も右手の人差し指と中指にはめていた。鈍い音の正体が分かって、全身に冷や汗がにじんだ。ゴッ……ゴッ……THE・骨と銀がぶつかる音。
「アマ、もういいでしょ」
金原ひとみ『蛇にピアス』
と、ここで『星へ落ちる』からも引用しようかと思ったけど、面倒なので止める。
とにかく文章が上手くなったのは間違いない。
内容はどうか。
私としては、これもとても面白くなっていて、
好きな男と会えないときの気持ちと行動の描写なんて、
うまくてうまくてそれだけを読んでいたくなってしまって困った。
昔の男の電話も良かった。