魔王

考えろ、考えろマクガイバー

魔王

魔王

伊坂幸太郎の他の作品とは一味違う。
政治と群集心理を描いた小説。


「この国の人間はさ、怒り続けたり、反対し続けるのが苦手なんだ」
(中略)
「初回は大騒ぎでも、二度目以降は興味なし、ってことだよ。消費税導入の時も、自衛隊のPKO派遣の時も、住基ネット開始も、海外での人質事件も、どんなものだって、最初はみんな、注目して、マスコミも騒ぐ。ただ、それが一度、通過すると二度目以降は途端に、トーンが下がる。飽きたとも、白けたとも違う。『もういいじゃないか、そのお祭りはすでにやったじゃないか』っていうさ、疲労感まじりの空気が漂うんだ」

という科白に、おお、と思った。
うちのサークルでも、「サークル名が変わる」となったときに大騒ぎになった。
意見が集められ、話し合いも何度かあった。
それで、一旦は延期になった。
けれど、二度目にそれが話題に上ったときは、あっさりと通った。
確かにあのとき、みんな(私含む)の中に「疲労感まじりの空気」は漂っていたように思う。