優しい音楽

地元の市立図書館で借りた本。
表題作ほか、
「タイムラグ」「がらくた効果」の二篇を収録した短篇集。

優しい音楽

優しい音楽

3篇とも、初出が
「小説推理」
なことに驚く。
以下、軽いネタバレ含む感想。



「優しい音楽」は、
1、2、3、4と章わけされていて、
2だけ視点人物が違う。



カップルを描く場合、
両方の視点から描くと深みが出る。
それはわかるし、賛成だ。
しかし、どっちか片方が
極端に少なかったり、極端に多かったりすると(同じことか)
どうにもアンバランスな印象を受けてしまう。
ずっと一人でよかったんじゃないか?
二人を同じくらいにした方がよかったんじゃないか?



というわけで、どうにも「不安定感」を感じた小説だった。



内容に関しては、好き。
特にタケルがいいやつだ。
それに、
音楽をセッションする家族っていいな。




「タイムラグ」は、
普段、子どもとあまり接しない一人称主人公が、
幼い女の子を預かるという設定から
長嶋有「タンノイのエジンバラ」を思い出した。
あれは、どういうラストだったっけか。



そうそう、今まで話したことない8歳くらいの子どもと接すると
こんな発見あるよなあ、と思った。



「不倫」は、「図書館の神様」でも出てたね。
世の男性って、そんなに不倫してるものなの?




「がらくた効果」は、
「佐々木さん」が「がらくた」なのだろうか?

人によって知っていることは、全然違う。常識だって思ってることも、ちょっとずつずれている。俺は今日、賀詞と松の内について知った。そういうことを言葉を交わしているうちに、自然と身に着けていくのは意味のあることだと思う。

という場面が印象に残る。
そうそう、他人と接する際の利点って、そこだよね。