我輩はゲームである。其ノ壱

幼いころに何の雑誌を定期的に買っていたかって、人格形成に影響を与えると思う。また、その人がどういう人か判断する基準になる。男の場合、ジャンプやコロコロコミックだと、対象があまりに多すぎて判断がつかないが、ボンボンやガンガンあたりだと、あーはいはい、そういう人ね、という感じがする。
で、私はVジャンプを買っていた。創刊3号か4号くらいから、毎月。4年間くらい*1
そのVジャンプで毎月1ページ連載していた、えのきどいちろう氏のゲームエッセイを書籍化したものが本書。
数ヶ月前、本屋でVジャンプを見かけ、何となく手に取りぱらぱら開くと驚きの事実に巡り合った。イヨク*2が編集長になっている! あのイヨクが! で、すぐに本棚に戻すはずだったVジャンプを更に読んでいくとまたも驚き! 「我輩〜」まだやっていたのか。というか書籍化しているのか。その本屋ですぐに探したが見つからず、見かけたら買おうと思って数カ月、ついに見つけたので買って読んだ。

我輩はゲームである。其ノ壱 (我輩はゲームである。) (Vジャンプブックス)

我輩はゲームである。其ノ壱 (我輩はゲームである。) (Vジャンプブックス)

この連載はVジャンプの中で、異彩を放っていた。Vジャンプは小学校中学年くらいから中学生くらいまでを対象にした雑誌だと思うが、対象読者層が全然違う感じだった。デザインもシックで、最初の頃は広告と勘違いして読んでいなかった(後に読み返した)。文体なんかも、ほかのページはこう、何というかゲームにのめりこんでるお兄さんが、親しげに友達口調で教えてくれる感じに対し、ゲームがちょっと好きなおじさんが、そよそよっとプレイしてゲームの本筋と関係ないことを書いている感じ*3だった。というかゲームと関係ない話の方が多かった印象がある。でもおもしろかった。内容はもとより、何というか、こう、周りの子より少し上の世代の文化に触れるというか、そういう優越感みたいなものもあった気がする。俺はこういうのも読んでるんだぞ、みたいな。
私は小学生から高校生にかけてゲームばかりしていたが、浪人から大学生にかけてはゲームをほぼやらなかった。あれだけ好きだったドラクエも8が出たときやりたいと思わなかった。最近またぼちぼちゲームをやるようになったが、高校生の頃までの熱心さはない。でも、えのきどさんはその間もずーっとゲームをしていたのだ。何かうれしくなった。
本書にひとつだけ注文をつけるなら、活字のQ数が大きすぎる、ということだろうか。子ども向けの連載なので、大きくしたのだろうが、この本を買う人はほとんど、私みたいなオールドファンの大人だと思う。なので、大きすぎて逆に読みにくい。2巻からは、もう少し小さくなっているとよい。

*1:定期購読していた雑誌遍歴=小1:小学1年生、小2・3:なし、小4〜中1:Vジャンプ、小6の間の半年くらい:ゲームオン、中2・3:なし、高1:ファミ通64+、高2:ファミ通64+アドバンスとファミ通、高3:ファミ通、浪人+大学以降:なし。こう見ると漫画雑誌を買ってたことはなくて、ゲーム雑誌ばかり買っていたんだな。

*2:私がVジャンプを買っていたころ、若手編集者として、よく紙面に登場していた

*3:特に印象に残っているのは「MOTHER2」の回。原典がなく、記憶だけを頼りに書くので間違っているかもしれないが、こんな感じ。諸君は「かいせ(貝瀬?)さん」を知っているか。筆者の近所にかいせさんという、いつも洗車をしている人(大家?)がいる。とてもかっこいい。その頃プレイし始めた「MOTHER2」で、最初に主人公の名前のほかに「かっこいいと思うものは?」と聞かれ、迷わず「かいせさん」と打ち込んでしまったほどだ。で、しばらく「MOTHER2」をプレイしていたら主人公が「pkかいせさんα」というPSI(MOTHERシリーズの主人公は魔法や呪文ではなく、PSIという超能力を用いる)を覚えた。これがとても強い。なのでしょっちゅう使っている。そのたびにかいせさんが敵に攻撃している図を想像する。かっこいいぞかいせさん。今日も洗車パワーで敵を倒せ。とかそんな感じ。