芥川賞候補作2作

12月号から候補作が選ばれることって多いよね。
というわけで文學界2008年12月号より2作品。
山崎ナオコーラ「手」と墨谷渉「潰玉」を。
一緒に載ってる海猫沢めろんは候補に入りませんでしたね。

文学界 2008年 12月号 [雑誌]

文学界 2008年 12月号 [雑誌]

以下、ネタバレもありますので注意。


人のセックスを笑うな」、「カツラ美容室別室」に続き、候補になるのは三度目。私が読んだことあるのは、ちょうど候補作3作だね。ナオコーラは作品を発表する頻度が高いのがいい。最初のうちは、どんどん書かないとね。
今回は、おじさん好きで「ハッピーおじさんコレクション」というホームページまで運営しているOLの話。途中から、会社の上司と不倫、彼女のいる同僚と浮気関係になる(両方とも主人公視点からすると付き合っているわけではない)。
この話、結構すきだ。なんとなくずるずるした関係になるのがいい。あと主人公が男に対し「こう思ってるんだろうね」みたいに考える考えが、そうだろうなと思えるところ。
でも、どうにも小粒感。時間が経ったら内容忘れそう。



山崎ナオコーラは、そのうち芥川賞とるような気がするけれど、この作品じゃなくてもいいかも。



以下、なんとなく、印象に残った文。
「手をつなぐ意味はわからなかったが、触りたいのだろうと思い、放っておいた。」
「おっぱいが体に付いていると、触ってもらいたくなって、困る。/いつか、さっぱりした体になりたいものだ」



  • 墨谷渉「潰玉」

墨谷渉って、朝青龍の兄貴みたいな名前だね。初候補で、どんな人だっけと思ってプロフィール見たら、おお「パワー系181」の人かー。あれはすばる新人賞とったとき、ちょっと評判よかった覚えがある。読んでないけど。
ええと「金玉を潰す」話です。真面目で仕事もしっかりしているサラリーマンが、あるきっかけで若い女に急所を蹴られ、それ以降「急所を攻撃される」というのを追い求めるという……
今まで読んだ3作品だと、これが一番読んでいておもしろかったな。ネットで検索したり、わざとそういう状況になるよう行動するとこと、普通に仕事しているとこのギャップとかよかった。仕事の場面は読んでいて退屈だったけど、だから残りの部分がおもろく感じるのか?
最後の場面も結構すき。
芥川賞は取らないだろうな、おそらく。