オブ・ザ・ベースボール

表題作は、芥川賞候補になったとき文芸誌で読んだけど、書籍化を記念して、もう一度読む。

オブ・ザ・ベースボール

オブ・ザ・ベースボール

「知識」をたくさん身につけている人が、ぱーっと書いた、という印象。
ペダンティックな表現が溢れているのだけれど、嫌味じゃない。
内容に関しては、前にブログに一回書いた気がするので割愛。



もう一方の作品は「つぎの著者につづく」。文芸誌掲載時に読もうとしたのだけれど、背景となるべき知識(元ネタ?)が足りなさ過ぎて意味がわかりづらく、途中で投げ出してしまった作品である。タイトルはSF作品「つぎの岩につづく」からか?
今回は書き下ろしで、著者本人による詳細な<註>がついていたので、私のように前回リタイアした人も読めるはずである。
……と、言いたいところだが。
ごめんなさい。詳細な<註>がついても、全然わかんないです……
こちらも最初に感じたのは、やっぱり「知識」の量。「知識」が多ければ良い小説が書けるようになるかというと、そうではないとは思うが「知識」がないと書けないものもあると思う。
で、重要なのは「知識」はひけらかせばいいものではないということ。円城塔は、世界との、また、読者との距離感の取りかたが上手いと思う。その豊潤な「知識」が魅力的なものとして私の目に映る。