オブ・ザ・ベースボール

第104回文學界新人賞受賞作。
そして、
第137回芥川賞候補作。
掲載:文學界2007年6月号
著者:円城塔

文学界 2007年 06月号 [雑誌]

文学界 2007年 06月号 [雑誌]

以下、感想。
ネタバレを含みます。

墜落するものこそが、生命である。

1年に1回、人が落ちてくる村の物語。
落ちてくる人を待ち構えて、
バットを持って、麦畑をうろうろする
(バッター・イン・ザ・ライ)「オブ・ザ・ベースボール



主人公が語る、
薀蓄、というか落下への考察がおもしろい。
狂っているんだけど、真面目。
間違っているけれど、本気。
のような。



背景説明がないのが、いい。
理由説明がないのも、いい。
考察はあるけれど、
本当のところは、誰にもわからない。



作品が進む矢印はぶれることなく結末に向かい、
「オチ」(らしきもの)もある。
とてもとても、うまくまとまっている。



個人的には、大変、楽しんで読めた。
けれど、芥川賞受賞は難しいのではないか。
若干、SFっぽいし。
あ、けれど「選評」で、川上弘美が推してたな。
そして川上弘美は、芥川賞選考委員でもある。



芥川賞が決まるの、今日だね。
もし、この作品になったら、
ブログの「候補作」の文字を「受賞作」に変えよう。