塩の街

有川浩のデビュー作
有川浩は主婦作家。近著『図書館戦争』が、本の雑誌が選ぶ2006年ベストテンで1位になっていた。

塩の街―wish on my precious (電撃文庫)

塩の街―wish on my precious (電撃文庫)

原因不明の「塩害」により、街はどんどん塩に埋め尽くされていく。
崩落寸前の東京で暮らす人たちは…

現代もしくは近未来を舞台にしたSF恋愛小説。
SFとファンタジーには苦手意識がある。
作中にあまりに現実に起こり得ない設定や展開があると、
物語に入り込めないように、いつからかなってしまったから。
けど、この作品は「あらすじ」等の前情報を得ずに読み始めたこともあってか
SFだということを意識せず、すんなりと世界に入っていけた。



そして筆が上手くてするする読ませる。
リクライニングできない長距離バスの中、いい気分で読み終えることができた。



この前、乙一を読み返したときに、登場人物にうまく感情移入できなくて
「もうこういうせつない話を楽しめないかもしれない」と思った。
けど本作は感情移入して楽しめた。
読むときの体調や心理状態や、読む場所が関係しているのかもしれない。