リレキショ

中村航のデビュー作であり第39回文藝賞受賞作。
同時に文庫化された第38回受賞作*1の方は
どこの書店でも平積みされていると言うのに
この本は全然売ってなかった。
本屋を何軒もまわってやっと見つけた。

リレキショ (河出文庫)

リレキショ (河出文庫)

「姉さん」に拾われて「半沢良」になった「僕」が深夜のガソリンスタンドでバイトしたり人と出会ったり…という話。
やわらかい文体であり、辞書をひくような言葉は使われていないので読みやすい。

主人公の「僕」のキャラが立っていない点がこの小説の特色だと思う。主人公に自分を重ねやすい。
拾われた経緯や、「僕」が本当の名前(親に付けられたもの)をどうして名乗らなくなったのかなどの理由が書かれていない点も気になる。普通だったら文章で説明する。私がこの小説を書いていたら説明を書いただろう。そういった説明を書かずに、ただ、今は姉さんと暮らしていて、日々を過ごしている…それがこの小説の良いところなのかもしれない。




文藝賞といえば
今回の受賞作の著者が14歳*2らしい。
友人にそのことを聞いたとき
また一人、自分より若い作家が出てきたか、と思った。
私は若い新人作家の作品を読むのが好きなので
機会があったら読んでみようと思う

*1:受賞時に作者は高校生で、映画化もされたやつです

*2:原稿執筆時。受賞時は15歳。